さくら いま 活動10周年記念
個展 『サクラ式ドロップス』
「展示作品解説」
ここでは、サクラ式ドロップスでの新作7枚を解説します。
自分の好きなように、絵を受け取りたい方は、そちらを大切に◎
さくら いまが、それぞれの絵に、どのような想いを込めたのか、
興味がある方はぜひご覧ください。
それぞれの画像をクリックすると、詳細が出ます。
(もっかいクリックで閉じます。)
![](10th-gallery-imadrops-m.jpg)
【今ではドロップス】
今回のメインテーマ「ドロップス(感情)の連鎖」を
最もわかりやすく描いた絵です。DMにも使用しました。
この絵はやけに製作過程の写真があるので、紹介します◎
![](10th-gallery-imadrops001.jpg)
下書き。B4サイズのキャンバスペーパーボードです。
![](10th-gallery-imadrops002.jpg)
ギャラリーの壁が青いので、青いドロップスにします。
![](10th-gallery-imadrops003.jpg)
塗っていきます。落ちてくるドロップスの色も決まる。
![](10th-gallery-imadrops004.jpg)
目があると引き締まりますね、絵。目、大事。
![](10th-gallery-imadrops005.jpg)
青色を濃くしていきます。
![](10th-gallery-imadrops006.jpg)
諸々、光が入ってきました。
![](10th-gallery-imadrops007.jpg)
手元のドロップスが輝いた!
![](10th-gallery-imadrops008.jpg)
背景がうすももいろになりました。
![](10th-gallery-imadrops009.jpg)
ドロップスを吊るすチェーンを描きました。
![](10th-gallery-imadrops010.jpg)
背景のうすももいろに白い丸たちを散りばめました。
![](10th-gallery-imadrops011.jpg)
外部から、ドロップスに興味を示す手が現れました。
完成!!!!!
![](10th-gallery-imadrops.jpg)
ドロップスの連鎖。誰かの悲しい味のドロップスも、世に出回れば
時として他の誰かの嬉しい味のドロップスになることもある。
そんなあなたの嬉しく召し上がったドロップスもまた、新たな味のドロップスであり
他の誰かの手に渡ったら、その誰かが味わうことになる、味は、わからないけれど。
このメインの子は微グロで、頭皮が裂けて脳みそのドロップスが
丸見えなんですけど、まあ気にしないでどんどんドロップスを食べていきます。
そんなこの子ももうすでに誰かのドロップス。気付かない、外からの気配。
この絵は、人間関係が続く限り、枠を超えます。外の他者へと、
どんどんと世界は広がっていきます。
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![](10th-gallery-tsukihoshi-m.jpg)
【つき刺さって星くず】
こちらの制作過程はほとんど写真に残ってないです。
過集中で忘れていたのかもしれない。
大抵、ちょっと一息とか、この部分できたぞ!って時に撮るのですけど
なんだかのめりこんでいたのでしょうか。過程写真は少ないですが
コンセプトをめっちゃ語っていますので、どうぞ。
![](10th-gallery-tsukihoshi001.jpg)
紫系は一番好きな色です。最高です。
不穏な感じを出したく、筆跡をぐるぐるしていきます。水多め。
![](10th-gallery-tsukihoshi002.jpg)
女の子のアタリをとります。浮遊系が好き過ぎて多用傾向にあります。
紺色、プルシアンブルーを使っていますが、完成時には全く残りませんね。
はっきり濃紺が出るので気に入っている色の一つですが、ウチのプルシアンブルーは
何故かいつも液体と固体が分離しており、非常に扱いづらいです。保存が悪い?
プルシアンブルーは昔は草木の灰と牛の血で作っていたそうです。
血の鉄ですね。今でも成分はフェロシアン化第二鉄、鉄分豊富です。
塗りつぶしてしまうのに血の成分ということに拘ってしまう。マニアック。
ちなみにプルシアンブルーは摂取で体内のセシウムを排出できるらしいです。
なので解毒、という意味もあり、使った感じです。
当然排泄物は真っ青みたいです。絵具をたべるとウ●チの色が変わるのか。
試してみたいですね。
閑話休題。
![](10th-gallery-tsukihoshi003.jpg)
そんな感じでプルシアンブルーはリボンにも使っています。
別珍の質感が出やすくて良いです。ふわふわ、口やら目やらから。
やっぱり浮遊させてしまう。好きすぎる。多分、自分が浮きたい願望。かも。
![](10th-gallery-tsukihoshi004.jpg)
今回はラメパウダーを使っています。
「つき刺さって星くず」というタイトルなのですが、
突き刺さる、と、月刺さる、がかけてあるのですが、誰も気付きませんでした。
私はタイトルかなりこだわっているので、タイトル注目してくれると嬉しいです!
![](10th-gallery-tsukihoshi005.jpg)
あえてラメパウダーを使ったのは、「既製品の、売り物のありふれたカワイイ」を
表現したかったからです。そうでなければ自分で絵具で描いてます。
この絵では細いお月様は真実の象徴。
いつも売り物のカワイイで取り繕ってきた女の子、お月様の切っ先で
真実を突かれ、ボロが出ている様を描いた絵です。
完成です。
![](10th-gallery-tsukihoshi.jpg)
本来の自分ではない、購入したカワイイが月の突きによって
こぼれ、放たれていきます。空に昇って星になったカワイイ。
その星たちが作る星座もまた、ありふれたカワイイものでした
(リボン、香水瓶、キャンディーにお花)
この絵のラメはマニキュアのトップコートで接着してありますが
時が経つにつれ、少しずつ、剥がれ落ちるかもしれません。(既にいくつか剥がれてます)
それもまた、よし、なのだと思っています。
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![](10th-gallery-jikaku-m.jpg)
![](10th-gallery-mitometakunai-m.jpg)
![](10th-gallery-ukeireru-m.jpg)
【自覚】】 【認めたくない】 【うけいれる】 (連作)
こちらの作品は3連作です。F0号キャンバス。
個展中はギャラリーの構造的に右から始めましたが、
ここでは左から並べました。
物語は【自覚】→【認めたくない】→【うけいれる】と続き、
その後さらに【自覚】へと戻る、ループな物語です。
![](10th-gallery-jikaku001.jpg)
まずはほとんど残っていない製作過程写真。
【自覚】の書き込んでいない状態。主線も無く、ぼんやりです。
![](10th-gallery-ukeireru001.jpg)
【うけいれる】のすごく初期の段階です。完成後は跡形も無いですが。
今回、この3つの連作は、
・細かく考えないで書き始める
・偶然の産物の中に良さを見出して利用する
・失敗とか無いので自由に、良いかもと思ったらやってみる
というスタンスで、他の絵を描いている時に常に横に置き、
思いついたり他の絵で絵具が余ったら塗ってみたりと、
とてもフリーな環境で制作されました。
まるで、宇宙のような。まぶたの裏側でみる夢物語のような。
自分では良くわからないけど、何か意味や理由のある、世界。
その物語を描くためには、この制作方法が最も適していたからです。
![](10th-gallery-3cat000.jpg)
3つの別のキャンバスで物語をつなぎ、しかもループさせるために、
「1つの同じ絵具を、全てのキャンバスに直接的に使用する」という
方法を実践しました。3つ全てのキャンバスに使われている流れるような濃紺は、
全てのキャンバスを通過しています。物理的にも、世界をつなげたかったのです。
【うけいれる】で大量に置いた濃紺をキャンバス上で水で薄め流し、
主に【認めたくない】にその流れた濃紺を垂らしていくなどしました。
この写真では【うけいれる】から【自覚】へ、少しだけ濃紺を移していますが、
【自覚】は物語のスタートであり、後半になるにつれ目立ってくる濃紺を
あまり色濃く使用したくなかったため、「何ループ目かなので少し引き連れてきてしまった」
というくらいの少量の使用にとどめてあります。
![](10th-gallery-3cat001.jpg)
【自覚】が完成だと感じたので、【認めたくない】【うけいれる】も
並べてみた状態です。このころは【うけいれる】が上下逆でした。
また、油性ペンによる描き込みも、まだありません。
とても「フリーに」制作していたので、気に入らなければ天地すら変わります。
![](10th-gallery-3cat002.jpg)
【うけいれる】がやはり気に入らず、ひっくり返すことにしました。
後ろにあった猫の形のような赤い部分(初期の社写真で青い猫だった部分)も薄めました。
一応「一旦は物語が終わる空間」なので、自分が納得いくまでに時間がかかりました。
![](10th-gallery-mitometakunai001.jpg)
【認めたくない】の一部には「ストリングジェルメディウム」という
画材を使用しています。蜂蜜のような質感で、色を混ぜることも出来る、
乾くと固まる透明のデロデロです。
このジェルメディウムをキャンバス上、円状にふんだんに盛り、
乾く前に上方から【うけいれる】の濃紺を垂らしたため、
デロデロの状態に濃紺の色水が流れ込んだりして、面白かったです。
このような、偶然の産物の利用、意図せぬ結果の利用、を多用しています。
完成した【自覚】。
![](10th-gallery-jikaku.jpg)
下地にたくさんのふんわりカラーを使ってあるので、
線の描き込みは単純ですが、味のある画になりました。
完成した【認めたくない】。
![](10th-gallery-mitometakunai.jpg)
モチーフに【自覚】の猫の両目を大きく使用しつつも、
他のごっちゃりした書き込みや特殊なメディウムのインパクトが強く、
混沌とした印象の画になりました。周りの黒書き込みは、油性ペンです。
完成した【うけいれる】。
![](10th-gallery-ukeireru.jpg)
猫をパッキリと描くか、最後までとても悩みましたが、
ものすごくパッキリ描きました。これも油性ペンです。
元々上部だった濃紺を垂らした部分が、下部に来て、
上昇するイメージとなりました。
また輝く円状のものは、良くみると猫の顔の形(耳がある)だったりします。
ぜひ、近くでじっくり見ていただきたい作品です。
が!!
こちらの作品はお嫁に行きましたので、もう、私も今では
じっくり観ることはありません。
三連作の一つが物理的に離れたということで、つながる三枚の世界が
つなぐ面積が、より大きくなったということになります。
できれば、あと2作品も、ウチではなく、誰かの家に旅立って欲しい。
そうすることで、遠く離れた三枚がつなぐ世界のワープ距離を伸ばすことで、
この物語はますます意味を帯びてくると思っています。
この三連作に関しては、製作意図は詳しくお伝えできますが、
他の作品と違い、その絵の持つ「物語」の内容は、一切どなたにも
お話しておりません。私自身の中には、他の絵同様に物語はありますが、
この連作に関しては、タイトルと画から、観てくださる皆さん一人ひとりが、
オリジナルな物語を作って欲しいと思っているからです。
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![](10th-gallery-nekokabu-m.jpg)
【猫かぶりかぶりがぶり】
今回、瞳の新たな描き方を得ることになった一作。
とてもキラキラした瞳が描けて、すごく満足しているし、
描きたいものが描きたいようにちゃんと描けた、お気に入りです。
![](10th-gallery-nekokabu001.jpg)
キャンバスに水彩色鉛筆で線を描きます。
水彩色鉛筆だと、変な線引いちゃっても水で落とせるし、
綺麗に落ちなくて色が残っても、それはそれで活かせたり
新しい気付きにつながったりするので、下書きはだいたい水彩色鉛筆です。
![](10th-gallery-nekokabu002.jpg)
猫が4体も重なってて紛らわしいので、色分け。
区別がつけば良かったのか、最終的にピンクな猫が水色ですね。
![](10th-gallery-nekokabu002-1.jpg)
ざっくり顔。色混ざっても気にしない、というか
むしろ歓迎な今日このごろです。肌がベタ一色なのつまらないので。
この頃から既に、可愛くなると確信ありました。
![](10th-gallery-nekokabu003.jpg)
かぶってる猫が塗られてるけど、顔のアップしか写真がありませんでした。
まだ、茶色だけのぐるぐるお目目。
だけど瞳の中に入り込んで残った下の色があって、それを見て、
瞳のぐるぐる、カラフルにできるのではないか!?と発見しました。
![](10th-gallery-nekokabu004.jpg)
大体できかなーと思って撮った一枚。
この頃はまだ、茶系の2匹に尻尾が無かったんですね。
![](10th-gallery-nekokabu004-1.jpg)
瞳は、ぐるぐるのラインが複数の色になったけど、
まだくすんでいるというか、輝きが無かったです。
![](10th-gallery-nekokabu005.jpg)
猫かぶりっ子は完成、あとは背景かなと言う段階。
迷って、一番好きなライラック(薄紫)を試しに塗ってみるも、
なんだかしっくりせず。悩みました。
![](10th-gallery-nekokabu005-1.jpg)
この時点で瞳はめっちゃキラキラ、描けてました!
思った以上に輝く瞳が描けて、すごく嬉しかったです。
![](10th-gallery-nekokabu006.jpg)
背景も決まり、最後まで迷ったけれど、
結局ハートが事後となった様子を描き加えました。
そして完成!
![](10th-gallery-nekokabu.jpg)
背景は、写真よりもうちょっとだけ緑っぽいです。
平筆で、何度も、薄い絵具を置くように重ねていきました。
猫をかぶる。ということわざがありますね。
この絵の女の子は、他人との関わりの中で傷付くのが嫌で嫌で、
どこへ行くにも、猫をかぶってやりすごしていました。
あまりにも毎回猫をかぶるので、かぶった猫は1つ1つが大きくなり、
そして猫の数も増えていきました。
ここまで来ると、女の子は、自分がかぶった猫がどうなっているのか、
後ろの方の猫までは見えず、気付けなく、関与できなくなっていました。
すでに後ろの猫からだんだん、元々の「猫」としての自我を持って、
猟奇的なその性格をむき出しにし始めている事も知らず……
そんな物語が描き込まれた作品、タイトルは【猫かぶりかぶりがぶり】。
女の子は、今日も猫をかぶって、他人からの攻撃を守っています。
それにもかかわらず、ズケズケと近寄ってくる、好戦的な奴も居ます。
でも、大丈夫、女の子は、正当防衛としての爪を持っています。
万が一、近寄ってくるような、攻撃してくるような奴が来たら、
鋭い爪で、一撃、必殺。あくまでも、正当防衛、なのです。
傷付きたくない。自分を守る女の子。
いつか、その自分のかぶった猫に、自分自身が食べられそうになったら、
彼女はいったい、どうするのでしょうね?
キラキラ輝く 綺麗な瞳。
だけど その視線の先には、見たくない汚いものばかり。
「だって、ちゃんと見て無いと、やられちゃうから。」
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![](10th-gallery-jidoriko-m.jpg)
【大好きな自撮り】
この絵は製作途中の写真が1枚しかないでした。。。
どうしてこう偏りがあるのか、自分でもわかりません。
![](10th-gallery-jidoriko001.jpg)
自撮りちゃん、スッピン画像流出です。
これしかない!なぜだー
なのですぐに作品解説へいきます。完成はこちらです↓
この絵のテーマは単純で、タイトルどおり、自撮り。
童話のコスしたぁい♪アリス、白雪姫、ぅ〜んシンデレラも良いなぁ☆
でも赤ずきんちゃんも最近アツいんだよねぇ〜(*≧ワ≦*)♪♪
……の結果、全部ちょっとずつ取り入れて、大満足な自撮りガールです。
撮影場所は、自室、姿見の前。周りに写りこむ部屋の生活感は、
ハートのスタンプをバシバシ使って、ペンツールでぐにゃぐにゃ隠して。
仕上げのスタンプ「Today's Me」!
「盛れたし、Twitterにアップしよ〜っと♪」
という、最近の人の様子です。
今までの絵よりコンセプト薄くない?と思うかもしれません。
しかしこれは、自分的には壮大なDisです。
盛っても顔晒しても別に良いし、自撮りのアップくらいは
自分も10年以上前からやってる。そこではない。
部屋隠しの加工、もっと丁寧にできないんですかね?
ほんのり隙間からゴミ箱やら棚やら見えて逆に生活感あるし
スタンプが雑すぎてやっつけ感あって残念だし、トリミングって知ってる?
そもそも隠さなきゃいけない部屋ってのもアレだし、
アップするのか隠すのかもー!その混在が逆に良いみたいなやつなの!?
……などと、日々インターネッツにあがってくる自撮りうp画像を見て
なんともいえない気持ちになるのを作品で吐露してみました。
本当は、どっちかの目か、鼻〜口元も、スタンプで隠す予定でした。
でも、今回自撮りガールもグッズにするにあたり、
顔アップの缶バッジやシールで、顔半分がスタンプで隠れてたら、
グッズとしてはイマイチだな〜と思って、
「顔はアプリの加工で盛れたからOK」な状況、ということにしました。
あと、スタンプのハートに使用したピンクの絵具が一部蛍光色だったので、
グッズ可の際には色が飛んでおとなしいサーモンピンクみたいになりました。
原画のハートは、もっとどぎつい感じです。
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